その7: 中南米の文化を知る
** 音楽とお祭り、インターネット事情は? **
今回は、多彩かつカラフルな中南米の音楽とお祭りと、インターネット事情を、画像を交えてご紹介します。
1.音楽
中南米の音楽で良く知られているのは、カリブを中心としたサルサやメレンゲなどのトロピカルなダンスミュージック、アンデス山脈地方の先住民インディオの物悲しい音楽、メキシコのマリアッチ、アルゼンチンのタンゴ、ブラジルのサンバ、といったところでしょうか。
サルサは、コロンビアのカリ市がメッカ的な存在で、国際ダンスコンクールが開催されたり、新しいサルサの曲はまずこの街でリリースされたりしますが、もともと1950年から1960年代にキューバで始まったカリブの一部の音楽が、米国でジャズと混合したフュージョンとして発展したものです。
メキシコのマリアッチは、スペインの植民地時代に、元々の先住民の音楽とヨーロッパの音楽、カリブの一部の音楽が混ざってできたもので、メキシコのハリスコ州が発祥の地と言われています。またハリスコ州にはフランス系の移民が多く、フランス人が結婚式の披露宴で呼んだ楽団を、フランス語の結婚を意味するマリアージュと言っていたのが訛って、「マリアッチ」なったという説もあります。
アルゼンチンのタンゴは、お隣のウルグアイでもポピュラーですが、これももとは、ヨーロッパからの移民やカリブからの移民、アフリカからの移民が住むブエノスアイレスの下町で始まった音楽が、富裕層にも広まっていったものです。2009年には、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。
こうした伝統的な音楽の他、米国のヒスパニック系の移民の影響もあり、近年スペイン語の曲が米国で流行ったりもしています。新しいところでは、2017年にリリースされた、プエルトリコの歌手 ルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキーの「デスパシート」が、全米ビルボードチャートで何週間もNo.1を獲得し、スペイン語バージョンのYouTube再生回数は30億を超えて歴代最多数記録を更新しています。
2.お祭り
中南米ではどの国にも特徴があるお祭りがありますが、特に有名なものを紹介します。
まず誰でも知っているのは、ブラジル、特にリオデジャネイロのカーニバルですが、カーニバルは他の国の街でも行われており、コロンビアのバランキージャ市のものや、ボリビアのオルーロのカーニバルも有名です。
リオデジャネイロのカーニバル
バランキージャ市のカーニバル
オルーロのカーニバル
11月2日のメキシコの死者の日は、メキシコ人にとって大切な祭日で、骸骨の仮装をし、骨を型どったパンが売られ、死者がこの世に戻ってくると信じられる日は、一晩中賑やかに過ごします。
チリの独立記念日の9月18日は、前後の日も含めて一週間近く、肉を詰めたパイを食べ、ワインを食べ、民族衣装で踊り、大切な行事となっています。
コロンビアのメデジン市の花祭りは、巨大な花輪を背負った農民がパレードするカラフルなお祭りで、近隣諸国からも観光客が詰めかけます。
3.インターネット事情とSNS
ラテン系の人は新しもの好きでもあり、インターネットは早いうちから普及しています。現在の普及度は以下のようになっていますが、今は地方の農民でも皆携帯電話をもっており、携帯電話番号やメールアドレスが、一種の身分証明書番号代わりに使われているところもあります。
典拠:世界銀行データ
SNSの普及度は、以下の通りです。
典拠:statista
SNSの主な利用状況は、以下のようになっています。
メキシコでは、人口の67%がSNS利用。うち95%がYouTube、93%がFacebook、87%がWhatsApp使用。
チリでは、人口の77%がSNS利用。うち82%がFacebook、78%がWhatsApp、74%がYouTube使用。
コロンビアでは、人口の68%がSNS利用。うち96%がYouTube、93%がFacebook、89%がWhatsApp使用。
GlobalWebindexによれば、2019年の一日のSNS利用時間世界ランキングでは、ブラジルが241分で第2位、コロンビアが225分で第3位、アルゼンチンが206分で第5位にランクされています。
~コラム~
中南米のSNSの使い方
中南米では、インスタントメッセージアプリは、WhatsAppが主流です。
電話で音声で話した方が早くても、なんでもかんでもメッセージでコミュニケーションをとっていますが、電話だとしゃべっている声が人に聞かれてしまうのに対して、メッセージだとプライベートが保たれるからでしょうか。
会社でも、同僚とおしゃべるする代わりに、パソコンの画面上で使えるようにしたWhatsAppで、こっそりコミュニケーションしているのがよく見られます。一見オフィスはシン、としているようでも、仕事をしているわけではなさそうです。パソコンの画面を見ながら、堂々とクスクス笑っている従業員などもいるのが、典型的なラテンのオフィスの風景ともいえます。
ただWhatsAppは、社内や社外の人も含めてグループを作り、伝言板に使ったり、情報を一斉に共有する、気軽で便利なツールでもあります。PDFの書類を添付したり、説明するのが難しいものも写真を撮って画像で送ったり、有効に使われています。営業マンも、もはや電話ではなくメッセージをセールスや御用聞きに使っており、客先にとっては、自分の時間に余裕がある時にゆっくりメッセージをチェックでき、発注代わりにも使われています。
書くのが面倒なくらい長いメッセージを送る必要がある時は、音声メッセージが送られてくることもあり、それに対して同じように音声メッセージを録音して送っている人も見かけますが、同時進行しているなら電話にした方が良いのに、と思うこともあったりします。
<過去の記事リンク>
その1: 地理情報と政権を知る。まずこれだけはおさえておきたい、中南米の地理と政治の基本。
その2: 各国の主な経済指標を知る。各国の経済規模と状態を、少し掘り下げて理解しよう。
その3: 中南米の産業構造。中南米は発展途上の先進国?
その4: 中南米の気候、料理、言語、人種。中南米の国民性を理解する要素をみる。
その5: 中南米諸国の貿易事情。何を輸出して何を輸入しているの?
その6: 自動車産業と、知られていない成長産業
参考サイト
https://www.trecebits.com/2019/08/01/conoce-cuales-son-las-redes-sociales-mas-utilizadas-en-latinoamerica/
https://www.bbc.com/mundo/noticias-49634612